この季節、特に西日本を中心に視界が悪いというお話しを耳にします。気にな
る大気汚染ですが、年配の方に伺うと、「昔の方がもっと空気はよどんでいた」
という反応も多く聞かれます。戦後経済成長と密接な関係を有している大気汚
染について、日本ではどのような経過をたどっているか、おさらいしてみたい
と思います。
古くは、四日市ぜんそくなどをはじめとし、工場から排出される硫黄酸化物に
よる影響等、工場の排煙を中心に大気汚染の問題が明るみになりました。
1968年、大気汚染防止法が制定され、本格的な工場の排煙の排出規制が始まり、
1973年「公害健康被害補償法」が制定され、慢性気管支炎等と大気汚染の関係
性をもとに、救済措置が取られるようになりました。
工場地帯の大気汚染については改善しているものの、自動車流通量の増加から
くる排気ガスの問題がクローズアップしてきます。この点においては、2001年
6月に自動車NOx法の改正が行われ、以降総量削減方針が示されています。そ
れに基づき各都市圏を中心に、総量削減のための施策が実施されています。ま
た、それとともに大気汚染状況を監視し続けるため、常時監視が各地点で行わ
れ、それらの情報がインターネット上でも公開されています。
そしてここ数年、大陸由来のPM2.5という新たな大気汚染問題が話題となって
います。昨年10 月、WHOから重大発表がありました。外部機関であるIA
RC(国際がん研究機関)が、屋外大気汚染がヒトに対して発がん性があるグル
ープ1に分類されたというニュースは、大気汚染と健康との関連性において画
期的な発表と捉えられました。これに基づき、今後もいろいろな空気由来の問
題が明らかになっていくでしょう。
健康住宅の観点から大気汚染を考えてみると、外にいる間はこのような空気を
吸うことを防ぐことができない以上、家の中だけでも「きれいな空気」環境に
することにより、健康を守っていきたいものです。従来、外の空気は常時フレッ
シュであるという前提条件のもとで換気について考えてきましたが、今後、空
気は汚れているのかもしれない、という前提のもと、換気についても考え直し
ていかなければなりませんね。
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